Keywords:オンライン授業,リモートワーク,アイスブレイク,コミュニケーション
豊原 菜月
[NE29-0046B/CDプログラム]
1.はじめに
2020年度に入って,世界中で新型コロナウイルスが大流行している.95%以上の大学がオンラインを使用した遠隔授業を実施し,これまで対面で行われていた講義もビデオ越しの非対面で行われるようになった.オンラインで行われる講義は,初めてのことばかりで学生はもちろんのこと,教員にも多くの戸惑いや大きな負担を生んでいる.オンラインでの授業の一番の問題は,設備等の問題やオンライン環境の難しさもあるが、もっとも大きいものとして、対面とは異なり周囲の様子がみえないことがあると考える.
対面でのワークショップでは,初対面での話しづらさを解消するために,アイスブレイクというという手法がよく取り入れられている.アイスブレイクとは,集まった人々の緊張をほぐしてコミュニケーションを取りやすいような雰囲気をつくるものである.また,対面の場では,お互いが物理的に近づくことで会話しやすくなる働きがあったといえる.しかし,オンラインではこのような暗黙の中にあった関係性がない.そこで,オンライン授業においても話しづらさを和らげるための,活発に意見交換が行えるようになる仕組みが求められていると考える.
2.研究の目的
本研究では,まずオンライン授業の話しづらさを調査し,その原因を分析する.その分析をもとに,アイスブレイクの効果を比較しツールキットを制作する.そして,オンラインでも他者の存在を感じ,お互いの距離を近づけるためのアイスブレイクがあることを知ってもらい,活発な意見交換につながることを目的とする.
3.調査と考察
3.1.アイスブレイクの調査と考察
アイスブレイクは,世の中に多く存在している.その中の事例として,「即興劇」や「十人十色」[1]があげられる.しかし,対面で行うことが前提とされている場合が多く,オンライン環境でできるものはまだ少ない.一方で,オンラインにおいて複数人で行える遊びとして,「お絵かきの森」や「Minecraft」などがあげられるが,アイスブレイクほど気軽に取り組めるものではない.そのため,これらを活用する場合は,効果や狙いをよく考慮した上で取り入れる必要がある.
3.2.オンライン授業で困っていることとその考察
オンライン授業で困っていることを調査するために,4年生12名にグループインタビューを行った.その結果,「複数人いると話し始めるタイミングがわからない」「表情がわからないと感情を汲み取ることができない」「反応が伝わらず,1人が喋るという環境になっている」という問題を抱えていることがわかった.以上のことから,相手を近くに感じないことなどから来る緊張感によって,活発に意見交換が行い難いのではないかと考えた.しかし,意見交換が行い難いからといって学生が勝手に授業の進行を止めることはできない.そのため,この問題は解決されることなく授業が進行されてしまう.これらのことから,緊張をほぐし,相手のことを身近に感じるようなアイスブレイクが効果的であると推測した.
3.3.オンライン授業について
講義のオンライン化に対し,普段からパソコンなどを使用しているネットワーク情報学部の教員及び学生はすぐに対応することができた.そのため,ネットワーク情報学部のオンライン講義では,今までの講義と同様に,学生同士の話し合いの場や共同作業の場が設けられていた.これらに伴い,アイスブレイクを取り入れている教員もいた.しかし,他学部の学生に話を聞くと,パソコンの設定などに戸惑いオンライン化に苦労したということがわかった.また,講義も授業が行わるのではなく資料を読んで来いというものであったり,課題が以前よりも増えているということがわかった.
3.4.オンライン会議について
オンライン,リモートワークに慣れてきた頃の会議について調べた.ニュースでは,自身の会議の受けやすさ,働きやすさから家ではない場所での働き方について報道されていた[2].またSNSを利用し調べていると,ビデオ越しの会議ではなく仮想世界を活用し会議を行っている企業があるということがわかった.その他にも,ビデオ越しに自身を写すのではなく,それぞれ人形を写しながら会議を行っている企業もあることがわかった.これらのことから,オンラインに慣れてきた現在,様々なところで変化が起きているということがわかった.
3.5.オンライン化についての考察
オンライン授業・会議について調べ,もともとインターネットに詳しい人たちは講義の進め方や仮想空間を充実させていき,これから先も自身たちで発展させていくと考えた.また,インターネットに疎い人たちには,何かしらの変化を持たせている人もいれば,そうでない人もいるということがわかった.これらのことから,そういった疎い人たちに向けた,”簡単にできるアイスブレイクの方法”を発信するべきであると考えた.
4.実践と考察
4.1Dayワークショップ
高校生向けに開催されたデザインワークショップ.内容は,Minecraftという仮想世界に遊園地「ネガクランド」を制作するというものである.大学生は見本となるため事前にネガクランドを制作し,そこをアイスブレイクの場として使用した.遊園地の概要を説明する際には.一体感を出すため,バスツアーのようにみんなでボートに乗り随所で一旦止まり制作意図を伝えながら水路を進んでいった. その後,実際に制作したアトラクションで遊んでもらった.そこでは,大学生と高校生や高校生同士で一緒に遊んでいた.高校生が制作したアトラクションの発表の際にも,大学生,高校生関係なく一緒に楽しみながら作品を見て回ることができた.ワークショップ全体を通しても,気まずいという空気にはならず,活発に意見交換が行われていた.
図1 ワークショップの様子
4.2.ツールキットの実践
制作途中のものを教員に配布してフィードバックを得た.使用した教員は,次に向けての改善点を見つけていたり,講義に合ったルールに変更したりしていた.この講義を受けていた学生からは,「楽しかった」「新しい形式の講義(内容)で面白かった」という意見をもらうことができた.
5.最終成果物「つかみ」の10分
10分で行えるアイスブレイクのツールキット(全18ページ)を制作した.冊子で取り上げているアイスブレイクは,教員にもルールに変更を加えたりと新しいものを考案してもらいたく,簡単に行えるようなルールがわかりやすいものを選択・考案した.また,何度もできるようにルールには複数のパターンを設けた.マイクやカメラ,使用できる人数は推奨するものを記載した.しかし,その記載に捉われず様々な場面で使用できるように他の使用方法も提案している.
http://www.ne.senshu-u.ac.jp/~cd/files/10minutes.pdf
図2 ゲームの紹介ページ
6.まとめ
提案・提示されたものをそのまま行うのではなく,教員が講義にあった内容に変更したり,やりやすいように変化を加えることによって,学生の緊張感や慣れからくるダルさというものを除去し,非対面でもコミュニケーションが取れて教員も学生も双方にとって楽しい学びの場となることを願っている.
新型コロナウイルスの感染者が日本で出て1年経った現在,収まることなく尚も猛威を奮っている.そのような中で,私のツールキットが少しでも役に立てば幸いである.
参考文献
[1] 十人十色 http://www.10nin10iro.net/index.html
[2] Cnet Japan (2s020) 観覧車で空中テレワーク—よみうりランドがワーケーションプラン
https://japan.cnet.com/article/35160499/

