家族形態の移行期に着目したミドル女性のためのライフログツールのデザイン

家族形態の移行期に着目したミドル女性のためのライフログツールのデザイン
Keywords:ライフログ,ユーザエクスペリエンスデザイン,親子間コミュニケーション

1.概要

 進学や就職で子が家を離れると、母と過ごす時間は途端に減っている。離れて暮らす親へ支援する方法は増加傾向にあるが、一緒にいる時間を充実させるものは未だ見受けられない。数少ない一緒にいる時間を作っていくきっかけとして、親子で行うライフログツールを制作した。

2.背景と目的

 家族は、子の自立をきっかけに大きく変化する。特に子育ての中心を担うことの多い母親は、子の親離れが原因で発祥する抑うつ病「空の巣症候群」に陥るケースもある。また、一般的に子離れと親離れの時期を比較すると親離れの方が遅いことから、子にとって、別居する母親に対する支援は重要な課題である。

この自立による母親の変化

離れて暮らす母親と子を繋ぐには、定期的な帰省を行うことに加えて、対話を通して相互理解の姿勢を持つことが必要である。そのためには「思い出」が大切ではないかと考える。今後、親と子の双方にとって、数少ない『一緒にいる時間』の価値を増幅するための仕組みが必要ではないだろうか。

3.調査

調査

◎1:現在、帰省時に親子が関わるタイミングは「食事」「送迎」と、低頻度である。会話を詳細に追うと、新しい話題を降っているのは母親から一方的な場合が多い。
◎2:子に関する記録が、壁掛けカレンダーから母個人の手帳に変化していた。以前は家族に関する情報を共有できたが、現在は閉鎖的になっていると言える。
◎3:母親は手帳、子はスマートフォンと、日々の記録方法について親子間で違いがある。
◎4:親子で記録方法が異なる。親子で一緒に記録・回想するためには、アナログ的な出力にする必要がある。

以上から、過ごした日々を双方が協力して記録、可視化、回想を行うことにより、数少ない一緒にいる時間を充実させるのではないかと考える。

4.成果物

mamalbum
親子で一緒に記録・回想するライフログツール「mamalbum」

 mamalbumは親子で過ごしたことを記録していき、アルバムを作る。母はウェアラブルデバイスであるネックレス、子はスマートフォンを所持する。記録するのは、親子の仲の良さ、訪れた場所、写真である。親子の仲の良さはウェアラブルデバイスとスマートフォン間の電波強度で測定する。訪れた場所、写真は既存のスマートフォンアプリで記録し、後日、紙に印刷して次回帰省したときにアルバムに閉じることで充実させていく。これを帰省する度に行うことで、帰省時に一緒に過ごす時間が増えていく。そういった一緒に過ごした時間が、形になって20年後にも残っている嬉しさもmamalbumにはある。これによって、母は子と一緒にいることができ、子から話しかけてもらうことができる。子は、母親と一緒にいるきっかけになり、帰省が義務ではなく楽しみに変わるだろう。
これから数十年間、親子が数少ない一緒にいる時間の価値を高める仕組みを作るのが、mamalbumである。

実証実験
実証実験

◎1:閲覧しながら記録日を回想したが、何を話すか双方とも戸惑っていた。記録から回想まで約2ヶ月程度の空きであったためまだ記憶が新しいこと、1日のみの記録では比較する日がなく面白みがないからではないかと考える。
◎2:一緒に書き込みをしようと試みたが、書き込み後を見てみると子の書き込みが中心であった。母親は書いている子を見ているだけで、自身の書き込みは1度もしなかった。子が既に書き込んだものを渡し、母親が返信を書き込む形に変更した方が書き込みやすいのではないかと考える。