料理イベントに着目した異文化交流のためのコミュニケーションデザインの提案

料理イベントに着目した異文化交流のためのコミュニケーションデザインの提案
Keywords:コミュニケーションデザイン, 料理, ウェブサイト

1.概要

 日本の数多くの大学では留学生と日本の学生を交えた国際交流が行われている。しかしながら、交流したい人と交流する場所は整っているが、留学生と在学生のカリキュラムが違う場合が多い。そのため、タイミングが合わず大学が主催しているイベント以外では交流できない場合もある。そこで、学生たちで時間を合わせ、交流目的の料理イベントを開催するためのウェブサイト制作とアイスブレイクを目的としたカードゲームの制作を行った。

2.背景と目的

 日本の数多くの大学では留学生と日本の学生を交えた国際交流が行われている。日本学生支援機構の調査[1]によると、留学生が留学先を日本に選ぶ理由として「日本社会に興味があり、日本で生活したかったため」、次いで「日本語・日本文化を勉強したかったため」が主要因となっている。そのため、日本の学生との交流は欠かせないと言って良い。また、迎える日本の大学生側においても、留学生との交流は海外へと目を向ける機会として大きな意義がある。しかしながら、交流したい人と交流する場所は整っているが、留学生と在学生のカリキュラムが違う場合が多い。

留学生と在学生の授業時間の差

そのため、タイミングが合わず大学が主催しているイベント以外では交流できない場合もある。そこで、留学生と日本の学生で予定を調整してもらい、自分たちでイベントを開催できるツールを作ることで、交流促進が期待できると考えられる。

3.調査と目的

(1)はじめにも述べたが専修大学でも留学生と在学生はカリキュラムが違うため、在学生が国際交流館を訪れても留学生とすれ違いになってしまう場合がある。大学主催の旅行イベントやクラスビジター(留学生の授業で在学生が日本語の補助をする制度)に参加し、親睦を深め、連絡先を交換する以外で直接留学生と連絡をとりあう方法がないため、それに参加できなかった在学生は粘り強く国際交流館に通う他ない。
(2)大学主催のイベントは定期的に行われており、留学生は開催されるイベントには積極的に参加する学生が多い。しかし、自らイベントを企画する留学生はほとんどいないことから、留学生はイベントにおいて受け身な姿勢となっていることが浮かび上がった。
(3)本校においても国際交流は行われており、2014年5月には留学生の宿泊施設であった国際研修館に代わり、専修大学国際交流会館(川崎市多摩区 以下、国際交流館)が建設されたことにより交流の場が広がった。在学生が入ることができるエリアが広がり、国際研修館では使用禁止だったキッチンが、国際交流館では留学生との交流目的での利用申請を行うことで、在校生でも利用ができるようになった。

キッチンの利用

 (1)(2)(3)を踏まえた上で定期的に開催されている料理イベントに着目する。これまでの料理イベントは留学生の生活の手伝いをしている学生が主体となって行うものであったが、在学生と留学生だけでも料理イベントを行えるようになったので、交流イベントを行う機会が増えたと言える。とはいえ、イベントに対し受動的である留学生に対して、イベントを企画し実行してもらうにはハードルが高い。そこで在学生と留学生がコンタクトをとり、協力してイベントを作り上げることができるツールが必要であると考える。

4.成果物概要

 料理イベントの開催告知と予定調整をするためのウェブサイトを制作。留学生と在学生はともにパソコンより、スマートフォンの方が使用率は高いためスマートフォンでも見やすいようにレスポンシブで対応。

ReReConnect

イベントは5人から10人で行うことを想定している。ゲーム終盤で見ているだけの人が発生しないよう、「お邪魔者」[3] のルールを参考に最初から最後まで、参加した人が楽しめるカードゲームを制作。

カードゲーム

料理イベントの流れとしては、日付を決め、当日カードゲームで料理を決め、一緒に買い物をし、一緒に作り、一緒に食べるというものである。

イベント開催までの流れ

5.評価と考察

 ウェブサイトを利用し、学生だけでもイベントを開催し、気軽に参加できるものとなっているか。カードゲームはアイスブレイクと料理を決める役割を果たすことができるのか。この2点についてユーザーテストを行った。その結果、留学生と在学生だけでもイベントを決定ことはできるが、中心となる人物がいないと当日の進行をスムーズに行うことは難しいことがわかった。そのため、以前のイベント通り約1年周期で変わる留学生の生活の手伝いをしている学生(RA)に進行役を担ってもらう必要性がありそう。また、当日の飛び入り参加、という形ではあったが料理をしていると参加しに来る留学生が数多くいたため、調査結果通りに留学生のイベント参加意欲は高いことが伺えた。

たこやき

カードゲームについてはルールを覚えてもらうのは難しいが、在学生とペアになることでゲームを進行しコミュニケーションをとることができたので、役割を果たすことはできたと言える。

ゲーム進行の様子

6.今後の課題

 ウェブサイトを留学生にもわかりやすくするために、多言語対応にすることや、UIの向上をし、参加率をあげる工夫をする。また、今回作ったカードゲームはルールが複雑なため、既存のゲームのルールを使うのではなくオリジナルで考え、より楽しむことができるコンテンツを作る必要がある。