
Keywords:児童育成施設, 遊び, 伝達, 子ども, 親子対話, UXデザイン
1.概要
近年、共働き世代の増加に伴い、終業後に子どもを預かる施設の充実が求められている。そんな中、児童育成(学童や地域独自の施設)ではただ預かるだけでなく子どもの自主性や社会性、創造性を養うために運営されている。毎日、施設には親の迎えを待つ子どもが2〜3人いるが、各々ゲームや本を読み時間を潰している。調査をした所、子どもは道具があれば日頃から創造して遊びたい気持ちがあるという事が分かった。そこで、両親を待つ時間があっという間に過ぎ、両親も子どもを迎えに来た際に、子どもの活動内容が知れるように「ぺたぐらむ」というスタンプキットを開発した。
2.背景と目的
共働き世代の増加に伴い、終業後の小学生を預かる保育施設の充実が求められるようになっている。全国に設置されている学童保育では、日中保護者がいない小学生児童に対して、授業の終了後に遊びや生活の場を与えて育成を図っている。子ども達にとっては、通常の年代ごとに区切られたクラス以外の異年代交流の場としての側面もあると言える。
学童保育は、学年の異なる子どもたちの遊びの場を提供すると共に社会性や自主性、創造性を養うことを目的として運営されている。しかし現状では創造性を養う機会は保育員が開くイベントに偏っており、子どもの自主的な創作意欲を育む体験が多いとは言えない。また、家族が子どもの活動内容や成長を知る機会も少ない。そこで施設の中で子どもたちがいつでも使え、自主性、創造性を養う機会を増やすことを支援するツールキット(道具箱)が求められていると考えた。
3.調査と分析
子どもたちと一緒に遊びながら普段の様子を参与観察による定性調査を実施し、3つの事実を抽出した。
1)子どもは積み木など組み合わせる遊びが好きである事と年代関係なく遊ぶ事
2)14時から17時は年代関係なく、皆で遊んでいるが、17時から18時は子どもが2,3人に減り、個々に漫画やテレビを見て遊んでいる事
3)参与観察にて折り紙を一緒に作っていた所、子どもたちが自主的に創作をしたい気持ちがある事(その際に、折り紙の本を支持通りに折ることができなかったが、私に折り方を教わりにきた事。完成した折り紙は家族にあげると言っていた事。現状、様々な技術を持っている大人は子どもに付きっきりになって教える事はできない事が分かった。)

左の男の子)「まだ完成してないから迎えに来ないで!」
右の女の子)「ポテト好きだからあげるの!」
(参与観察中に子どもたちが両親に向けて作った作品)
よって、子どもたちは日々の中でモノ作りをしたくてもできない状況にある為、1人遊びとしてマンガやテレビを見ているという仮説を立てた。
4.成果物概要

子どもが様々な形のスタンプを組み合わせてメッセージギフトを制作するツール「ぺたぐらむ」
形のあるスタンプを組み合わせて子どもたちの創造性を生み出す事で、押す度に違う成果物が出来上がる。また、学校内ではプリントの裏紙のゴミが非常に多く出る為、裏紙を使い練習をする事が出来る。スタンプの組み合わせ例を予め用意する事で子どもたちの発想の手助けとし、完成したカードは友達同士見せ合いながら作る事で新しい使い方や話題を生む。完成した時の達成感と、ギフトとして形にして残す事で親子間での会話のきっかけとなるものである。作品立てを用意し、入れて完成となる。
5.評価と考察
スタンプの道理が分かっていない子どもにとって、扱いにくいものだと言うことが分かった。また、スタンプに上手くインクがつかないとやる気をなくす、組み合わせが思いつかないと直ぐに飽きるなど使い勝手や配慮がないことが判明した。しかし、作業初めは「パパの顔を作る」「車ができた!」と言った発話も伺えため、改善次第では長く遊べるものになると推測する。
「あ!車だ!」
(スタンプを組み合わせて、車を作って遊ぶ様子)

「他になにかできると思う?」
「おうち!!」
(質問をなげかけ、組み合わせを思いついている様子)

作業の最中、車を完成させた子に「他の組み合わせで何が出来ると思う?」と質問を投げかけた結果、家を作っていた。話かけた事で考えるキッカケとなっているのなら、はじめからなぞるだけの見本があれば、そのハードルを下げることになるのではないかと考える。
6.今後の課題
対象とする6〜8歳よりも、1,2歳年下となってしまったため、スタンプ台をスタンプにする、想像以上に汚れてしまう、等の想像していない出来事が起きた。しかし、これらは1,2歳上の子たちも変わらず見せる可能性があるため、改善が必要である。策としては、もっと単体で組み合わせやすい形をつくる(1パーツだけで車や電車に見えるという形を用意する)、なぞれるだけで作れるような見本を作る、インクをつけずともそのまま押せるようにする、等子どもたちの考えを助ける作りにする。子どもたちへのハードルを下げるとともに、施設内にあっても汚さないといった施設側の取り入れる際のハードルも下げる必要がある。